本「心にいつも猫をかかえて」村山早紀
猫のエッセイ&物語
猫好きのための、猫にまつわるエッセイと、四季おりおりの猫物語がつまった1冊。
著者である村山早紀さんの優しい目線がとてもあたたかく、ときにホロリときます。
可愛い話も切ない話も愛おしい。
著者の村山早紀さんは、1963年、長崎県生まれ。
毎日童話新人賞最優秀賞。
本屋大賞では「桜風堂ものがたり」が5位、「百貨の魔法」は9位に選ばれています。
<本の構成>
猫にまつわるエッセイの合間に猫の物語があります。
エッセイで始まり、合間に物語、そしてエッセイで終わります。
物語の舞台は長崎。春・夏・秋・冬、それぞれの季節の中で、猫と人間の交流を描いた4つの物語。
主人公の年齢や性別、職業は様々ですが、どの人も皆あたたかく、切ない話も安心して読めます。
人々の暮らしの中にさりげなく猫がいる風景を、優しく愛おしく描いた猫本です。
<感想>
著者の村山早紀さんが、猫をとにかく深く愛していることが伝わる本でした。
猫を飼ったことがある人が読んだら泣いてしまうと思います。
私は猫を飼ったことはないけれど、幼い頃に親の仕事の都合で、昼間猫屋敷に預けられていた時期があり、今でも猫が大好きです。
この本を読んでいたら、その猫屋敷を思い出しました。
その猫屋敷のおばさんは、車にひかれた野良猫や、喧嘩してケガした野良猫を病院に連れて行ってそのまま飼ってしまう優しい人でした。
なので、家にいる猫は片目や片足がなかったり、しっぽがちぎれている猫もいました。
それでもどの猫も本当に可愛くて好きだったことを覚えています。
もう猫というだけで無条件に可愛い。子猫も年寄り猫も、細い猫もぽっちゃり猫も。
今でも野良猫を見ると心がときめきます。じっと見たくて動きが止まってしまう。
勝手なイメージかもしれませんが、猫を飼っている人は優しい人が多いような気がします。
村山早紀さんの本も優しい。
今回読んだ「心にいつも猫をかかえて」もそうですが、小説「星をつなぐ手」や「コンビニたそがれ堂」も、やっぱり優しい。そしてあたたかい。女性らしさを感じます。
読んでいる間は自分も「こういう世の中だったらいいな」という世界の一員になれるので癒されます。
子供から大人までどの世代の人でも、心の状況を選ばず安心して読める本だと思います。
猫を飼っている方はもちろん、他の生き物を飼ったことがある人、どこかで可愛がったことがある人、感動が待っています。
長崎の街並みや精霊流し、方言なども、とても素敵で魅力的でした。
猫が飼いたい(病気の面倒も看取る覚悟もできたら)!
長崎へ行きたい(コロナ禍が過ぎ去ったら)!
<こんな人におすすめ>
- 猫を飼ったことがある人
- 猫好き
- 癒されたい人
- 長崎が好き、興味がある人
価格:1,760円 |