高野和明の連作ミステリー
「6時間後に君は死ぬ」
高野和明さんの連作ミステリー小説「6時間語に君は死ぬ」。
5つの短編とエピローグで構成されています。
5つの話はそれぞれ別の物語だけれど、一人同じ登場人物(未来が見える青年)が続けて出てきます。
スリルのあるサスペンス、ノスタルジックなファンタジー、切ないロマンス、胸が熱くなる感動。そしてまたサスペンス。
5話すべてがまったく違う内容なのに、どれも読むと前向きな気持ちになるところが共通点だと思います。
そして最後には素敵なエピローグが待っています。
どの主人公も自分の人生とは違うはずなのに、どこか似たようなところがあったりして、いつの間にかどっぷり感情移入しながら読んでいました。
辛い体験や悔しい思いをしたことがない人なんて、多分いないですよね。
この本を読むと、過去の苦い思い出や感情を思い出すかもしれません。かもですが。
リアルな人生では辛い体験をしても途切れることなく日々は続き、解決しないままいつの間にか痛みが薄れていくと思います。
でも、もしあのときにこんな風な結末があったら!
辛くとも前向きな気持ちで生きていく勇気になったはず。
そしてまだまだ遅くはない。これからの生き方にも活かせるはず。
リアルな人生にちょっと素敵な答えを与えてもらえたような、前向きに生きていくヒントを与えてもらえたような、自分の過去にご褒美をもらえたような。
そんな気持ちになる、めずらしい素敵なミステリー小説でした。
面白かったです!
価格:880円 |