「すばらしい人体」山本健人・感想

人体と医学の本

医師である山本健人さんが書いた「すばらしい人体」を読んでみました。

サブタイトルは「あなたの体をめぐる知的冒険」。

医学というと用語が複雑で難しそう、読んでも理解できなそう、面白くはなさそう。

読む前からそんな不安がよぎるかもしれませんが、「あなたの体をめぐる知的冒険」と聞くと、ちょっと面白そうではないですか?

「冒険」と聞くと俄然わくわくしてきます。

普段本を読まない夫が購入し、珍しく読破していたので私も読んでみました。

本の構成

まず本を開くと初めに全身図が登場します。いわゆる骸骨です。

折りたたんである色付きの紙を広げるとまず「骨格の構造」があり、裏をめくると「頭部・内臓の構造」が出てきます。

その後続く第1章~第5章は次の通りです。

第1章「人体はよくできている」

第2章「人はなぜ病気になるのか?」

第3章「大発見の医学史」

第4章「あなたの知らない健康の常識」

第5章「教養としての現代医学」



感想

読む前に興味を持ったのは第2章と第4章でしたが、まず初めの第1章が面白かったです。

第1章では人体がいかに絶妙なバランスや機能を持っているか、多機能で応用力がある人体の素晴らしさについて書いてありました。

肛門の機能はまるで神業。

今まで当たりまえ過ぎて考えたこともなかったけれど「確かに!」という体の仕組みに気づくことができました。

医学の知識ゼロの私でも読み進められるくらい、読みやすく表現されています。

読むと体の色んな部分の「なぜ」が分かります。

 

第2章は病気、死因、免疫、アレルギーなど気になる話が盛りだくさん。

生活習慣や加齢についても書いてあります。

なぜガンが死因の多くを占めているかについては「なるほど!」と頷きながら読んでいました。

 

第3章の医学史は正直いうとあまり興味のある分野ではなかったのですが、ここを読まないことには現代の医学に繋がらないという大事な章でした。

誰がどういう苦労をしたおかげで今の私たちが病気を未然に防いだり治療ができているのか。

世界中のノーベル医学生理学賞をとった偉人達の恩恵を、当たり前のように生まれたときからたくさん受けていることが分かります。

そのひとつであるワンクチンの話が特に面白かったです。

 

第4章の健康の常識は、思ってもみなかった内容もありました。

例えば酸素。

今私たちは酸素がないと生きられないということは誰もが知っている常識ですが、その酸素自体が実は生物にとって毒である、と聞いたら驚きですよね。

ではなぜその毒である酸素を取り込み生きることができるのか。

その答えがのっていました。

そして酸素を好む細菌と好まぬ細菌がいることも初めて知りました。

ボツリヌス菌は酸素を好まぬ菌(偏性嫌気性菌)なので、真空パックなどは絶好の環境だそうです。

一見、真空パックは(缶詰もかな)空気に触れないから長期保存できそうですが、それはあくまで菌が入っていない場合であり、製造過程で菌が混入していたら密閉すると増殖する菌もあるのだなあ…と思うと、ちょっと怖いけれど見方が変わります。知っておいて良かった。

この章を読んで食当たりの常識が変わりました。

 

第5章はレントゲンや手術道具、パルスオキシメーターなど医療機器について多く書かれていました。

あとは医者のマスクやガウンがなぜ青が多いのかとか、血液がなぜ赤いのかとか。

お医者さんが書いた本ですが、患者側からの視点を想像して書かれているから読みやすいのかもしれません。

 

血液に種類があること、平熱があること、消毒の重要性、免疫やワクチンの重要性など、今当たりまえのことは先人たちが発見し、実験してくれたおかげで恩恵が受けられている。

なんとなくそうだろうと思っていたことでもちゃんと知ると驚くことばかりでした。

現代に生まれてラッキー!と思わずにはいられません。

これから先も今はまだ分からない発見があり、新しい医療の常識がアップデートされていくんだなと思うと、医学は未知の世界でありミラクルが起きる分野なんだなと、とても興味が湧きました。

今こうしている間にも、発想を得た賢く勇気のある人が研究や実験を繰り返しているのだろうなと。

 

こんな風に自分の体(血液から内臓まで!)に興味を持つことがあるとは思いませんでした。

医療に興味があってもなくても一読の価値あり。

その読書の時間には、価値が生まれると思います。

 

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