高野和明「幽霊人命救助隊」あらすじ、感想

命を救う幽霊たち

高野和明さんの小説「幽霊人命救助隊」。

そのタイトル通り、幽霊たちが人の命を救う物語です。

 

あらすじ

自殺をした男女4人が、神様から指示を受け、四十九日間で100人の自殺願望者を救おうと奮闘する物語。

親からの圧力で東大を受験したけれど落ちて自殺した青年(裕一)、ヤクザ老人(八木)、家族持ちの気弱な会社経営者(市川)、アンニュイな若い美女(美晴)の4人は、神様から「天国へ行きたければ自殺願望者の命100人救え」といわれ、地上へ舞い降りた。

神様から与えられた救助のための道具、お揃いのユニフォームを身に着けて、4人は大都会にいる自殺願望を救い始める。

感想

自殺した人が、これから自殺をしようとする人を救う。

なかなか複雑な内容だな、と思って読み始めましたが、暗くなりすぎないようにエンターテイメントな感じになっているので、最後まで興味を持って読めました。

神様の登場シーンや神様が与えてくれた道具、ユニフォームなどの細かい設定が「生々しく存在している」「仲間がいる」ことを実感させてくれます。

仲間も小道具も揃い、前向きに一生懸命人々を救う4人。

最初はただ純粋に救助活動を行う4人ですが、自殺願望者の中にはそれぞれ自分と似た状況の人も出てきてしまいます。

そして自分の自殺の原因、死んだ意味とも向き合わざるを得なくなります。

「もしかしたら死ななくて済んだのかもしれない」

「こんな解決方法があったんだ」

そう気づいてももう遅い。

なぜなら死んだ後だから。

この本に意味(使命)があるとしたら、今まさに死にたいと思う人が読めばおそらく救われる、死なずに済むかもしれない、ということかなと思います。

死にたいという気持ちは鬱という病気がさせるんだ、鬱は病院で治るんだ、治らなければ病院を変えよう。

借金の返済で死にたくなったらこういう法律で救われるかもしれない、弁護士に相談しよう。法律で解決できるようになっている。

ちょっといい加減なくらいがタフに生きていける。

そういう具体的な死にたい気持ちの解明や解決への流れは、直面している人にとって参考になるのではないでしょうか。

なんとなくただ生きているだけでもいい。存在しているだけでもいい。

4人の救助隊を通して、作者が読者へ思いを伝えているように感じました。

もし今生きることがつらいなら、この本をまず読んでみてほしい。

最後まで読めば分かります。

今は信じられないかもしれないけれど、明けない夜はない。

この本自体が「人命救助本」だと思います。

別に今つらいことがなくても、読めば未来に備える役に立つかもしれません。

そう感じたので、読んでよかったです。

 

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