「大阪ウェットランド」あらすじ、感想

痛快エンターテイメント小説
服部倫さんのミステリー小説「大阪ウェットランド」。
第29回日本ミステリー文学大賞、新人賞受賞作です。
スラスラ読みやすくて登場人物も魅力的な面白いミステリー小説でした。
あらすじ
大阪に住む売れないドラマーの椿は、女子プロボクサーの夏美と喫茶店でケーキを食べている最中、男子中学生がガラの悪い男たちに絡まれているところを目撃してしまう。
しかもその中学生は周囲に「SOS」のハンドサインを送っていた。
他に気づく客はいはい。
椿と夏美は店を出た中学生と男たちの後を追い、その場から助け出すことに成功する。
中学生の名は春斗。
春斗の耳がほとんど聞こえないことを知った椿は、ドラムを教えると約束し、交流が始まる。
すると間もなく、春斗の別れた父が謎の大金を残して死亡。
それから半グレやヤクザ、警察から目をつけられ始め…
仲間と共に、周囲で起きる不審な事件を探る椿。
事件の背景には大阪のとある湿地(ウェットランド)の開発が関係していることを知り…
感想
面白かったです。
スラスラと流れるように読める文章、登場人物のキャラクターと関係性、軽快さ。
最初から最後まで物語がうまくつながっていて、読み終わった後は気分がスッキリ爽快でした。
耳の不自由な春斗との出会いでは、本人よりも周囲が違和感のある言動や行動をとってしまうことを、よくありそうな状況で物語っていて難しさを感じました。
特別扱いするとかそんな単純なことじゃなく、もっと心に語り掛ける何かなのです。
人と人。
ぶっきらぼうな椿を通して、お互い様なこと、おごりのない優しさについて考えました。
居心地よく過ごすために必要なのは、大事にしてアクションを起こすよりも、身近な人がなんとなく傍にいることや、一緒に色んな経験をできる人が自然に増えていくことなのかなーと、感じました。
美人ボクサーの夏美についてはジェンダーの違いが出てきますが、そこはさらっと普通に面白く読めます。
もちろん主軸はミステリーなので、春斗の父の不審死や大学院生の行方不明など、ミステリーらしい事件も起きます。
椿と友人のマクナイトも暴行を受けて怪我したり。
事件の背景にある、希少なトンボや花が生息する湿地(ウェットランド)の開発あたりから、ハードボイルドっぽくなってきます。
半グレやヤクザ、警察、先生、バーのオーナーなど他にもいて登場人物は多めですが、そのワチャワチャした感じも面白い。
特別な能力があるわけじゃないけれど、なんかガッツがある主人公の椿。
美人で強い女友達の夏美。
ボカロ作曲をするハーフの大学生、マクナイト。
この仲間3人に共通してあるのが、正義感とユーモアです。あとは頭の良さ。
終わり方が自然でいい感じでした。
春斗くんの成長も自然で、椿と夏美やマクナイトの平和な会話も自然。
そういえば、自然(ウェットランド)を中心に事件は起きていたけれど、解決のための手段は意外と近代的でした。
現代と古代?の知恵を駆使した最後の戦いが最高です。
このキャラクターのシリーズものが読みたい!
シリーズ化希望。
痛快で面白かったです。
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価格:1870円 |
