「ティファニーで朝食を」あらすじ、感想
小説「ティファニーで朝食を」
この夏、カポーティの小説「ティファニーで朝食を」を再読しました。
訳は村上春樹さんバージョン。
短編「花盛りの家」「ダイヤモンドのギター」「クリスマスの思い出」も入った作品集です。
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あらすじ
第二次世界大戦中のニューヨーク。
駆け出し小説家の僕のアパートメント階下には、社交界の華である新人女優のホリーが猫と住んでいた。
魅力的なホリーの部屋を訪れるのは名の通ったセレブたちだが、可憐で天真爛漫なホリーはセレブの求愛をさらりとかわしている。
風のように通り過ぎるホリーに惑わされながらも惹きつけられる僕。
僕は戦争に行っているホリーの弟に雰囲気が似ているせいか、ホリーは次第に心を開いて自分のことを語るようになったが、その話の中には嘘や理想も混じっているようだった。
本当のホリーの姿とは。過去とは。
そんなある日、ホリーにある疑惑が持ち上がり…
感想
厳しい時代の物語ということを忘れそうな、オシャレで粋な文章でした。
もちろん「ティファニー」がオシャレという意味ではなく、出てくる人の背景がどうであろうと、人や猫や物でさえも魅力的に美しく描かれています。
ひとつひとつに品を感じる表現力。
思わず近寄りたくなり、触れたくなり、欲しくなるような。
洗練された言葉のハーモニーが読んでいて心地よく、ハッピーエンドとは言い難い物語でもふわっと良い余韻が残ります。
「ティファニーで朝食を」は映画のイメージ(というかオードリーヘップバーンのイメージ)が強いかもしれませんが、本を読むと、もはや映画が霞んで思い出せなくなるかもしれません。
オードリーは妖精みたいで綺麗だし、音楽も衣装も素敵だったけれど。
小説の中のホリーもまた別格の美しさ、魅力を持っています。
ホリーの魅力を深める表現やエピソードがとても爽やかです。
花の香りを運ぶさらっと乾いた風のように、あっさり一瞬で心を奪うホリー。
でも留まることはできない儚い夢のよう。
言葉の持つ限界のない美しさは映像を超えるのかもしれません。
再読とは思えない新鮮な面白さでした。
「ティファニーで朝食を」以外の物語も、どれもとても面白かったです。
「花盛りの家」は、恋の沼にはまった女の子の話。
「ダイヤモンドのギター」は、ギターと同じくダイヤモンドではなかった友情の話。
「クリスマスの思い出」は、純粋で優しい高齢女性と男の子の友情の話。
それぞれの物語のどれもがフレッシュでした。
読みながら、想像とは思えないほど頭の中には具体的で写実的な映像が流れます。
私が特に好きなのは「クリスマスの思い出」。
どれも分かりやすいハッピーエンドではなく、不穏な未来が続く予想ができる物語のような気がしますが、「クリスマスの思い出」は美しくて目にたまった涙が溢れないように気を付けながら読みました。
夏の読書もいいですね。
読み終わると「あー読んで良かった!」と思うのですが、読み始めるまでが腰が重いという、本との不思議な距離感。
外は大雨ですが、本の相棒にコーヒーを連れて今日も読書の旅に出ます。
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