「夜の国のクーパー」あらすじ、感想

伊坂幸太郎の不思議な世界

伊坂幸太郎さんの小説「夜の国のクーパー」。

しゃべる猫と戦争。

それから、真実を知り自分の頭で考え立ち向かう勇気についてのお話です。

あらすじ

妻の不貞が発覚し、逃避のため仙台の港から小舟に乗り釣りへ出た私は、目が覚めると見知らぬ草むらで縛られ胸の上には猫がのっていた。

しかもその猫は自分の国で起きた様々な出来事を語りかけてくる。

国王や国の人間たちのこと。戦争が終わってから始まったこと。

クーパーと、透明になったクーパーの兵士について。

猫の語る不思議な物語に入り込んだ、普通の男の物語。

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感想

出だしからもう、面白い。

猫の国にやってきた鉄国(敵国)の兵士たちが巻き起こす騒動から物語は始まります。

国民を安心させようと語り掛ける頼りになる国王。

自分のことしか考えない横暴な国王の息子。

正義感で動いちゃう憎めない素直な男や、賢い医者と年長者、たくましい男、魅力的な女。

猫の国には様々なタイプの人間がいて、それぞれが目の前で起きている問題と立ち向かいます。

さらに不思議なクーパーの存在と、そのクーパーを倒しに向かう兵士の話しもあり。

猫と鼠の話し合いも、とても大事な場面です。

当たり前だと思っていたこと、信じていたことが事実と違うかもしれない。

どの問題も自分の頭で考え、考えて得た理性や知識を活かし行動する勇気を持つことの大切さ。

大まかには猫と戦争の話しですが、本質はそっちではないかと思います。

自分の知らない味方や敵の姿を知ったとき、自分には何が出来るか。

どう立ち向かっていくのか。何が解決なのか。

最後はグッとくる物語を用意してあるところが、さすが伊坂さんです。

人間らしさとは。

猫らしさとは。

鼠らしさとは。

何かのきっかけで今まで見えていなかった物事の面が見えた時、そのショックから自分や周りを守ってくれるのは温かい思いやりではないかと、そう思わずにはいられない物語でした。

まずは考えることから逃げないこと。

考えたことを活かして行動する勇気を持つこと。

流れに身を任せて悪い状況を受け入れ続けず、自分の力で立ち上がること。

立ち上がる勇気は自分の頭の中で生まれ、動かすのは心だと教えてもらいました。

 

不思議な物語が、不思議じゃない現実との向き合い方を示してくれます。

日常には必要な我慢と必要じゃない我慢が潜んでいる。

立ち向かうべき我慢があるかもしれない。

お勧めの1冊です。

面白かったです!

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夜の国のクーパー【新装版】 (創元推理文庫) [ 伊坂 幸太郎 ]

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感想(1件)