器と道具の本「ひとり時、円居時」
器を愛でる
京都で器と日用道具のお店「木と根」を開いておられる林七緒美さんの著書、「ひとり時、円居時 暮らしに寄り添う器と道具」を読みました。
タイトルの円居時とは、「人々が丸くなって集う」「団欒(だんらん)」という意味だそうです。
家族や仲間との団欒に寄り添う器。
ひとり時間に寄り添う器。
長く愛用する、できる器を持ち、日常的に使う楽しさが、林さんの思い出や経験と共に紹介されています。
料理に華を添えてくれる凛とした器や、使いやすく気分が上がる、味のある道具たち。
なんてことないおにぎりや卵焼きが、器によって、組み合わせによってご馳走に見えてきます。
本には写真と文章がありますが、素敵な器と同じくらい、器への想いが綴られた文章が素敵でした。
林さんは器や道具のことを「相棒」または「持ち主自身を表すもの」と表現しています。
そんな器や道具との出会いは言うまでもなく、「高価なものだから」「流行りのものだから」ではありません。
長く喜びを持って使えるものを、自分自身の好みで選ぶ大切さについて書かれています。
そういうもの選んでいるからか、器や壺が割れてしまってもすぐには捨てず、その陶片に季節の枝をのせて花器として使用したり。
アイデアがとてもオシャレでした。
その他にも意外な使い方がいくつもあり、とても参考になりました。
若いころから陶器市や骨董市に行くのが好きだった私には、この本が素敵な出会いになりました。
どこかに自分を待っている器や道具があるかもしれない、いつか出会うかもしれない、と思うと出かけるのが楽しくなりそうです。
その時その出会いに気づける自分でいられるかどうか。
ふと目が合い立ち止まるひと時を、心の余裕を持って暮らせたら、気づけるような気がします。
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ひとり時、円居時 暮らしに寄り添う 器と道具 [ 林 七緒美 ] 価格:1540円 |