笑い飯、哲夫の小説「頭を木魚に」あらすじ、感想

頭を木魚に
笑い飯の哲夫さんが書いた本。ということで、多分笑える話を盛り込んだ痛快な本だろうと思って読んでみたら大間違いでした。
生きていく中で感じる理不尽さ、不器用さ、それから愛おしさ。
この本を読むと、そういうぐるぐる回る形を変える何かの真理に近づくかもしれません。
あらすじ
ひとつの仕事が長続きせず、タクシードライバーとなった家庭持ちの男。
客からの苦情がきっかけで忘れ物担当になるが、そこでもトラブルは続く。
行く先々で事が上手くいかない上に、ついには会社で別の従業員がやった罪を肩代わりして罪に問われてしまう。
ただ家族に会いたい。
家族のためにと思った行動が裏目に出るのはなぜなのか。
男の小学生の息子は、夏休みに青春18切符を利用し、父方のルーツを探るため一人岐阜へと旅に出る。
初めて役所で戸籍を取り、一人で食堂に入り昼食を食べ、冒険をしながら考える。
よく働く父。食器もトイレもお風呂も洗う父のこと。
不安な旅で出会った親切な人、面白いけどちょっと怪しい人、世の中の成り立ちを教えてくれるお坊さんなど、色々な人と話すうちに見つけた旅の目的地とは。
感想
働き者で人も好いのに、なぜか何をやっても上手くいかない主人公。
普段、頭の中で色々想像を膨らませて心配しているのに、いざトラブルに直面すると間違った方を選んでしまう。
読んでいて途中ちょっと辛くなりました。
もっとよく考えて!すぐに答えを出さないで!
と、届くことのないアドバイスやエールを送りたくなります。
失敗続きですが、主人公が一貫していたのが家族への想い。
毎日冷凍食品を食卓へ並べる奥さんでも、返事をしてくれるだけで嬉しい息子でも、会いたい。
顔が見たい、家族の待つ家に帰りたい。
たとえ帰ってきて喜ばれなくても、食器やトイレやお風呂を洗う毎日でも、守りたい。
その気持ちが読んでいて救いになりました。
なんか、この人色々不安だけど大丈夫な気がする…と。
ちょっと変わっているしだいぶ不器用だけど、共感はできないけれど、嫌いにはなれない良い人だと思ったので、希望を持って最後まで読めました。
主人公の息子はなかなか賢い子で、旅の道中も面白かったです。
お父さんが何度か仕事を変えたことは知っているけれど、外でも家でもよく働くことも知っています。
お父さんに対して嫌な気持ちを持っていない、素直で賢い男の子。
お父さんやおじいちゃん、ひいおじいちゃんまでルーツを辿り、その先々で個性的な大人と出会います。
大人っていつも同じような質問をしてくるな、と感じながらも、大人の社交に気を遣いながら知りたいことをつかんでいくたくましさ。
息子の方は読んでいてワクワクしました。
主人公も息子も出会う人物がお寺の住職で、その住職の話がすごくためになりました。
えんぴつや消しゴムなど分かりやすい身近なものに例えて、諸行無常や諸法無我をおしえてくれます。
すべてのものは移ろいゆくこと。
イライラする気持ちも続かないこと。
すべてのことは流動的に成り立っていること。
例えば洋服は生地を縫う人、裁断する人、生地を作る人、糸を作る人がいる。
道路も過酷な環境の中、舗装してくれる人、材料を作る人、機械を作る人がいる。
普段思いをはせない陰にかくれた人に目を向けることで出てくる言葉が「お陰さま」
なるほど!!目からウロコでした。
さらに、お蔭さまに対して心から出てくる言葉が「有難う」
有難い。有ることが難しい。
当たり前じゃない、ということを知らないと「有難う」は出てこないということ。
この住職の話を読み、この本を読んで良かったと心から思いました。
最後どうなったかはネタバレになるので言えませんが、ちゃんとタイトル回収されています。
でも本当は、もっと深い意味があるような気もします。
笑い飯の哲夫さんは仏教マニアだそうですね。
なるほどです。
たった1冊読んだだけで、前より哲夫さんが好きになりました。
面白かったです。
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価格:1760円 |
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