伊坂幸太郎「死神の浮力」あらすじ・感想

死神の浮力

伊坂幸太郎さんの死神シリーズ?第2弾「死神の浮力」。

ダークな復讐劇に死神が登場する、一風変わったエンターテイメント小説です。

最後までハラハラする展開とラストの哀愁が、まるで映画のよう。

頭の中に映像が広がりました。

 

死神の浮力 (文春文庫) [ 伊坂 幸太郎 ]

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感想(13件)

あらすじ

10歳の一人娘を殺された夫婦の復讐劇。

 

犯人は一度逮捕されたものの、事件前から犯人によって周到に用意された記録や証言により、無罪判決を勝ち取る。

そんな悲しみに暮れる夫婦の前に、一人の男が現れる。

話しを聞くと、その男も犯人の男に復讐したい恨みがあるという。

だがその男は実は死神で、担当になった人間の死の可否を判定するためにやってきたのだった。

判定に要する期間は1週間。

死神は自分の仕事を誠実にまっとうすべく、復讐計画を立てる夫婦と行動を共にする。

巧妙な手段で次々トラップをしかけてくる犯人と、それを追う夫婦と死神。

最後まで展開が読めないエンターテイメント小説。

 

感想

設定は娘が殺されるという辛いものですが、死神のキャラクターに夫婦が救われ笑顔になるシーンは結構ぐっときました。

死神は決して笑わそうと思って笑わすのではなく、自然な振る舞いや言動で思わず笑わせてしまいます。

笑われる死神。なかなかシュールですよね。

その描き方が上手い。

寡黙で感情を出さないクールな死神が放つ言葉が、ずれているようで時々確信をついてきます。

そんな感情を出さない死神が唯一求めるものは音楽。ミュージックです。

そこが物語の面白さを膨らませるためのスパイスでした。

 

夫婦が体験した悲しみは壮絶で、復讐したい気持ちは物語が進むほどに、読んでいるこっちまで強くなっていきます。

事件が起きても起きなくても、多分この夫婦には強い絆があるのだと思います。

応援しながら最後まで力強く読みました。

 

伊坂幸太郎さんの小説はいつも、人の持つ強さにはっとさせられます。

その強さが物語を面白くさせて、感動もさせて、時々悲しくもさせてきます。私にとっては物語の一番の核というか、魅力です。

もちろん、パズルのピースがハマるような伏線回収も魅力!

 

犯人、夫婦、死神以外にも、いろんな立場で動く人々が出てきます。

考え方や感じ方はその立場や人格によってかなり違いがあります。

自分たちの当たり前は、別の誰かには当たり前じゃない。

例えば娘が殺されても、皆が辛さを理解してくれるわけではない。それどころか攻撃に近い行動をとる人さえいる。

その事実が、人の冷酷さや弱さ、鈍感さが、悪とは言い切れない悲しさを感じました。

それでも強い人は強い決意を持って前へ進もうとするんですよね。

 

とにかく読み始めたら最後まで読まずにはいられない物語です。

最後の最後のシーンが特にいい。じーんと目頭が熱くなりました。

サスペンス、エンターテイメント、感動。

どの部分にも手抜きがない1冊。

面白かったです!

 



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