伊坂幸太郎の「ジャイロスコープ」

伊坂幸太郎の短編集

伊坂幸太郎さんの短編集「ジャイロスコープ」。

まったく趣の違う作品が7作集まっています。

 

浜田青年ホントスカ

まず始めの1作目は「浜田青年ホントスカ」。

スーパーの駐車場で相談屋を営む板垣さんと、その下で働く浜田青年のお話です。

このタイトルのユーモアさと物語の設定にすっかり騙されました。

読み進めていくと「おや?」「ん!?」驚きの結末が待っています。

結末に向かうにつれて鳥肌が立ちました。

 

ギア

2作目は「ギア」。

ある理由で荒れ地になった都心を、ワゴンに乗った人々が逃走するお話です。

ワゴン内で起こる出来事や、会話によって増していく切迫感。

謎の生物「セミンゴ」とは…

映画の1場面を見ているような物語でした。

 

二月下旬から三月上旬

3作目は「二月下旬から三月上旬」。

少しずつ何かがおかしい。日常に無理がある。家庭内の不協和音。

そのどの場面にも現れる、もしくは存在感を漂わせる謎の友達「坂本ジョン」。

この作品が一番解釈が難しかったです。

あまりいつもの伊坂さんではない雰囲気の作品でした。

純文学というか。

芥川龍之介の作品のようでした。

なぜかこのお話を読んで、夏目漱石の夢十夜を思い出しました。

 

if

4作目は「if」。

もしもあの時、ああしていたら…違う行動をとっていたら。

そんなおそらく誰もが経験する「もしも」。

「if」は、バスジャック事件にまつわる「もしも」の物語です。

後悔を克服する方法に勇気をもらいました。

 

一人では無理がある

5作目は「一人では無理がある」。

事情があり、親からクリスマスプレゼントをもらえない子どもたちにプレゼントを配るサンタクロースのお話です。

サンタクロースは何人もいて、支える人たちもたくさんいるそうです。

その仕事は人柄でスカウトされる仕組みになっています。

ところがその選ばれた先鋭の中には、お茶目なミスをしてしまう人もいて…

そのお茶目なミスが起こすグッドタイミングな奇跡に感動しました。

 

彗星さんたち

6作目は「彗星さんたち」。

タイトルの彗星さんとは、新幹線を清掃する方々のことです。

おもてなしの心を持ち丁寧で素早い清掃をする彗星さんたちは、様々な事情を抱えながらも日々懸命に仕事に励んでいます。

もちろん、他の仕事をしている人もそれは同じだと思います。

彗星さんたちが休憩時間で話す会話に引き込まれました。

市川くんの想像が現実だったらいいな。

この本の中でこの物語が一番、目頭がツーンときました。

 

後ろの声がうるさい

最後の7作目は「後ろの声がうるさい」です。

前の6作品のまとめのような物語でした。

それぞれ繋がりのない作品でしたが、この作品で無理なく自然に繋がります。

最後には驚きと感動を待機させているところがやっぱり伊坂さん。

 

面白い短編集を探している方がいたら、お勧めしたい1冊です。

 

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