オードリー若林の「青天」あらすじ、感想

青春と自由
直木賞候補にまで上がったオードリー若林正恭の小説「青天」。
正直にいうと、よくあるタイプの芸能人が書いて話題になっただけの小説だろう…と期待をしていなかったのですが、今はその時の自分を思いっきり吹っ飛ばしたい気分です。
内容は簡単にいうとアメフトを通した高校生の青春物語なのですが、それだけにあらずです。
大人になってもテーマである「自由とは」のヒントが書かれていました。
あらすじ
アメフトに夢中の高校生「アリ」こと中村昴は、引退をかけた大事な試合のために相手校の隠し撮りまでして臨んだが、玉砕してしまう。
部活を引退後、自分にはアメフト部の仲間以外に友達がいないこと、受験に向けた準備がまったくできていないことを悟る。
そんな時、やさぐれた気持ちを癒し仲間に迎えてくれたのが不良グループだった。
最初は楽しく過ごし、ワルを満喫していたアリだったが次第に疑問を持ち始める。
不良グループは一見自由を満喫しているように見えるけれど、そこにはカーストのような上下関係があり、暗黙のルールというガチガチのルールが存在していた。
嫌なことを強いられていくうちにそのダサさに気づいたアリは、不良グループから抜けて再びアメフトと向き合う覚悟を決めた。
一度引退した先輩を疎ましく思う後輩たちの中で、居心地の悪さを感じながらも大会という目標に向かい厳しい練習メニューをこなし、走り続けたアリが最後に掴んだものとは。
感想
物語の中盤あたりまではあまりはまらず、数日かけてのんびり読んでいましたが、後半「第4Q」からオーバータイムまでは一気に読みました。
流れる涙を放置し一気読み。
読み終わったら目が真っ赤になっていました。
最後に本を読んでこんなに泣いたのはいつだろう。
青春小説といっても恋愛の要素はほぼなく、女の子はほぼ登場しません。
高校生らしく親の登場もほぼなし。
主な登場人物は、アリ、アメフト部の仲間、ヤンキー、倫理の岩崎先生、中華料理屋のオヤジ(少し)です。
ぼろ負けした引退試合、引退後の落ちた生活。
ここまではなんともなく普通に読めたのですが、この先がやばい。アツい。
アリが心と向き合い本気で考え行動したことが次第に周りを変えていきます。
後輩に優しい言葉をかけて自分の居心地をよくしたりせず、敢えて本当のことを伝えて成長させようとするアリ。
優しくしてくれる唯一の後輩チョモ。
一人ぼっちのアリに明るく「一緒に帰りましょう!」とってくれるチョモに対し、「俺のところに来るな、お前がこれから共に過ごす仲間はあいつらだろう」と突き放す場面がぐっときました。
大好きな先輩を思いやるチョモ。
そんな後輩の未来を思いやる先輩アリ。
朝練メニューや試合の戦術を考えてくれる友達、河瀬も最高です。
アリが難しい練習をクリアした時に「おめでとう!」といってくれた河瀬のことを、人におめでとうがいえるやつなんだなって尊敬するアリも最高。
読んでいるうちにどんどんアリが好きになっていきました。
ネタバレになっちゃうので結果は書かないですが、最後に向かってどんどん面白くなっていくことは間違いないです。
ライバル(と勝手に思っている)伊部との最後の対決まで目が離せません。
試合の残り時間や得点差から意識を開放して集中した数分間は、好き放題やっていたはずのヤンキー時代には得られなかった自由がありました。
引退試合で負けたことも、ヤンキーの仲間に入って嫌な思いをしたことも後悔しない。
あの時なんで分からなかったんだろうなんて思わない。
そのことに気づいた大事な「今」を生きるアリの物語。
さて、掴んだものはなんでしょうね。
すごく面白かったです。
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価格:1980円 |
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