ミステリ小説「見知らぬ人」あらすじ・感想
「見知らぬ人」著者:エリー・グリフィス
アメリカ探偵作家クラブ賞、最優秀長編賞を受賞した「見知らぬ人」。
イギリスの作家がイギリスを舞台に書いた、女性が語るミステリ小説。
<あらすじ>
イギリス中等学校「タルガース校」の英語教師クレアは、タルガース校のかつて(ヴィクトリア朝時代)の持ち主である作家ホランドについて研究している。
教師の仕事やホランドの謎解きに力を入れるクレアだが、私生活では離婚した夫との間にできた一人娘を育てる母でもある。
そんなある日、クレアの同僚で親友のエラが自宅で殺害された。
遺体のそばにはホランドの幻想怪奇短編小説に出てくる「地獄はからだ」という文が記されたメモが残されていた。
その後も続く、まるで小説をなぞるように起こる事件。
ホランド小説の見立て殺人なのか。
<感想>
少しお堅いけれど美しく魅力的な英語教師のクレア。クレアの娘で青春謳歌中ティーネイジャーのジョージー。仕事はクールで優秀だけれど私生活ではコンプレックスを持つ刑事のハービンダー。
この3人の女性、それぞれの目線で事件が動いていく様子が、いい意味で推理の邪魔をします。
私は犯人を当てられませんでした。
事件の主軸を作る、小説の中に出てくる小説(ホランドの方)も魅力的です。ホラーというか、少し怖い感じがいい。
登場人物が脇役も含め、キャラクター強めで面白い。
この皆がキャラクター強めなところも、推理の邪魔をする要素かもしれません。
事件に関係ない人がこんな詳細なキャラクター設定あるわけない!と思ってしまう。でも結果、関係なかったり。
正直に言うと、どの登場人物も最初はあまり好きになれなかったです。
それは登場人物同士が、お互いに嫌な点を見ていたからかもしれません。
だけど事件を追う中でお互いに対する思いが変わり、段々ガードを緩くしていく様子や、さらには好感を持つまでになってくると、なんだか読んでいるこっちまで好きになってくるから不思議です。
読んでいるうちに感情まで見事に誘導されていたようです。
快、不快なんてその程度のものかもしれませんね。
簡単に周りの感情や状況、もしくは新しいエピソードで変化する。
「嫌いから好き」の方へ変化する分には嬉しいけれど。
この小説はまさにそうでした。
とくに刑事のハービンダーが好きになりました。
続編も読みたい!
イギリスの風景や生活(紅茶も!)が目に浮かぶ、女性が書く、女性的なミステリだと思います。
推理は外れたけれど面白かったです!
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価格:1,210円 |