「カラフル」あらすじ、感想
直木賞受賞作家、森絵都さんの「カラフル」
高校生が選んだ読みたい文庫No.1。
累計100万部突破の名作。
大人も泣ける青春小説!
と、文庫の帯に書いてありました。
小学6年の息子が本屋で選んだ一冊です。
私も読んでみました。
あらすじ
生前に過ちを犯し、何らかの理由で死んだはずのぼくは、天使から輪廻転生のチャンスを得たことを告げられる。
輪廻転生するためには、ボス(神様)が指定した人の体を借りて過ごすという修行(ホームステイ)、人生の再挑戦をしなければならない。
修行が順調に進むと生前の記憶を取り戻し、犯した過ちの大きさを自覚したらホームステイ終了。
借りていた体を返し、昇天して輪廻サイクルに復帰できるらしい。
天使からそうレクチャーされたぼくは、自殺を図った中学生の真(まこと)の体にホームステイをすることになり…
感想
生前の記憶をなくしたぼくが、真の体を通して家族の温かさや友達と過ごす楽しさを知り、関係が深まることで欠点も知ってしまいます。
それでも関わっていくことでその先に見えたもの。
自分で見たものがその人のすべてではない、知らない側面があるという本当に当たり前のこと(だけど忘れがちな)に気づき、その過程を経たからこそ、素晴らしいことにも気づける。
読んでいくことで、最後には疑似体験したくらいの感動が待っていました。
「カラフル」というタイトル、納得です。
人ごとに色々なカラーがあり、さらにその一人の中でもカラーは変化し続ける。確かにこの世はカラフルですね。
ちょっと悪いことを考えたとき、こんなこと考えるなんて自分だけ何か変なんじゃないか、人と違うんじゃないか、と思って悩んだことはありませんか?私はあります。
若者ならではの悩みってありますよね。
多くの人が通過してきた道(今も通っている最中かも!?)ではないでしょうか。
そのとき、それを受け入れてくれる家族や友達がいたら、好きな人がいたら。
たった一人でもいたら。
諦めないで坂道を上る人間になれるような気がします。
そんな一人に誰もが出会いたいですよね。
出会いたいならまず、自分がその出会いたい人間になってみるか。
気づかないうちについ「ください、わかって、助けて」側になりそうなところを(たまにはいいけれど)、「いいよ、変じゃないよ、みんなそうだから。あなたもおかしくないよ」といえる側になれたら。
優しい器を身に着けられたら。
そうなりたい。なれるかも。自分次第で。
借り物の、他人の人生だからこそ謳歌できる。気持ちのままに大胆な行動や言動ができるようになる。そういう感覚を経験したことはないけれど、この本を読んで「そうか。それはいい手かも」と思いました。
耐えるのに辛いことがあったとき「これは他人の人生だ」と思えたら、もしかしたら楽しめるのかもしれない。
「あー、こう来たか。じゃ、こうやってみるか!」みたいな、気持も体も軽い感覚で動けたら、意外といい方向へ行くんじゃないか…
もし悪い方にいっても、傷の深さに関わらず立ち直る時間は早いんじゃないか…
読み終わって、そんな風に考えました。
自殺という重いテーマの小説ですが、暗くないトーンで物語が進んでいくのでスラスラ読めました。
暗いトーンだったら、読みながら立ち止まり考え考え…なかなか先に進まなかったかもしれません。
一日で読み切った本は久しぶりです。
性に関する内容も出てきますが、そこも含めて息子と感想を言い合いました。意外と笑いながら。
私にとって息子は、本の感想を言い合える貴重な相棒です。
「カラフル」は思春期真っ只中の人、その親世代、両方にとって貴重な資料のよう。
面白かったです!
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