村上春樹の短編小説
「一人称単数」村上春樹
村上春樹さんの短編小説「一人称単数」。
ちょっと不思議な8話の物語が収められています。
タイトルの通り8話すべてが一人称で語られているので、主人公から見た風景を存分に楽しめます。
どの話も登場人物が少なく、主人公と対話する人物とが、とても濃密な時を過ごしています。
一度だけ、短い時間過ごしただけ。
それなのに、脳裏に残り胸をざわつかせるような、忘れられない不思議で濃密な空間が出来上がっています。
いつの間にか、日常の中にとても自然に入り込んできた不思議な出会い。
1話読み終わるとすぐに次の話を読みたくなりました。
次はどんな種類の不思議が待っているのか…
その中で、他の7話とは趣が違う話が「ヤクルト・スワローズ詩集」。
これは村上さんのエッセイかな!?と思うような小説?です。面白おかしく読みました。
どの話も短さを感じさせない(あるいは短さを逆手に取った)世界観があり、その前後のストーリーを自分で勝手に想像してしまいました。
解けない謎が、オシャレに、スリリングに、ミステリアスに、ユニークに、その時々で姿かたちを変えてやってくる8話のショートストーリ。
普段は長編小説が好きですが、「一人称単数」は、満足できる短編小説でした。
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