小説「フーガはユーガ」 著者:伊坂幸太郎

小説「フーガはユーガ」 著者:伊坂幸太郎

<あらすじ>

深い絆で結ばれた双子の兄弟の物語。

仙台のファミレスで、大人になった兄の優我が一人の男に対し、弟である風我のことや生い立ちを語り出すところから物語は始まる。

父親の暴力を受けても誰からも守られず、人並みの幸せをかすめもしなかった子供時代。

兄弟の秘密である、誕生日だけの特殊能力。

過酷な経験を重ねても、明るさや勇気、耐える強さ、悪を見逃さない正義感を失わずに色んなトラブルと戦う兄弟の、熱く切ない物語。

<感想>

優我と風我はヒーローです。

二人は一般的にみて人生の成功者ではないかもしれませんが、ヒーローにはなれたと思います。過酷な環境がヒーローになる要素を作ったのだとしたら悲しいですが。

顔はそっくりでも性格も得意分野も違う二人は、お互いにとって唯一の本当の理解者であり、ぴったりの相棒でもあります。

目をそむけたくなるような残酷な出来事が起きたとき、二人は逃げずに向き合い、自分たちで解決できる方法を見つけようとします。

連係プレーがばっちりなところはさすが双子!フットワークが軽く、機転の利く二人の活躍は読んでいてスカッとしました。

色んな悪党がいて、想像を絶する人間の欲望があって、そういうものを見なかったことにできない二人の優しさやたくましさに背中を押されて最後まで読むことができました。

二人に関わる(悪党ではない)登場人物たちも、弱いながらも魅力的です。

伊坂幸太郎らしい作品で、読み進めていくにつれてパズルのピースがはまっていき、読み終わるとパズルが完成して気分が晴れ晴れします。タイトルもなるほど、しゃれています。

読んだのは昨年で、その後色んな本を読みましたが、この「フーガはユーガ」は今でも時々思い出すほど心に残っています。

どんな過酷な環境で育ってもしっかり生きろ!みたいな脅迫はなく、悪と出会ったとき自分はどう向き合うかを考える、優しい勇気を与えてくれる作品です。

思い出すと切なくなりますが、読んで良かったです。大好きな一冊になりました。

<こんな人におすすめ>

  • 伊坂幸太郎ファン
  • 勇気がほしい人
  • 世の中捨てたもんじゃないと信じたい人
  • 過酷な状況にいる人
  • 誰かとの絆を望む人

 

 

フーガはユーガ [ 伊坂幸太郎 ]

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